ご飯をよそったしゃもじの先に、内釜の黒いコーティングのかけらがついている。
長く使ってきた炊飯器を買い替えようと売り場に行くと、マイコン、IH、圧力IH、土鍋釜と、加熱の仕方の違う炊飯器が並んでいます。
選ぶ順番は、まず「1回に何合炊くか」で容量を決め、次に「どんな炊きあがりが好きか」で方式を選ぶ。
内釜と手入れ、置き場所は、そのあとで比べれば十分です。
炊飯器を選ぶときに見る5つのところ
1. 容量(3合・5.5合・1升)
2. 加熱の方式(マイコン・IH・圧力IH・土鍋釜)
3. 炊けるお米の種類とコース(無洗米・玄米・雑穀・おこわ)
4. 内釜の素材と重さ、毎回洗う部品の数
5. 置き場所の寸法と、蒸気の出る向き

加熱の方式で、炊きあがりの傾向が変わる
炊飯器の方式は、お米にどうやって熱を伝えるかの違いです。
熱の伝え方が違うと、たくさん炊いたときのむらの出方や、粘り・かたさの傾向が変わります。
| 方式 | 熱の伝え方 | 炊きあがりの傾向 | 扱い・手入れ | 向く使い方 |
|---|---|---|---|---|
| マイコン | 内釜の底のヒーターで、下から温める | 少ない量なら十分。量が多いと上と下で炊きむらが出ることがある | つくりが単純で、本体を軽く小さくしやすい | 1〜2合を炊くことが多い |
| IH | 電気の力で内釜そのものを発熱させる | 釜全体が熱くなり、量が多くてもむらが出にくい | マイコンより本体が重くなる機種もある | 毎日2合以上炊く |
| 圧力IH | IHに加えて、圧力をかけて100℃より高い温度で炊く | 芯まで熱が通りやすく、もっちり・やわらかめになりやすい | ふたのパッキンや圧力の部品の手入れが増える | もっちりしたご飯が好き、玄米もよく炊く |
| 土鍋釜 | 内釜に土鍋を使い、ためた熱でじっくり炊く | ふっくら、香ばしい仕上がりをねらったもの | 内釜が重く、落とすと割れることがある | 炊きあがりの香りや粒立ちにこだわりたい |
ただし、同じ方式の中でも、機種によって炊きあがりの方向はかなり違います。
圧力IHでも、圧力の強さを変えて、かためからもちもちまで炊き分けられる機種があります。
方式は「おおまかな傾向」として見て、最後はその機種の炊き分けのコースで好みに合わせられるかを確かめます。
圧力IHの「圧力」は、何をしているのか
水は、ふつうの気圧では100℃で沸騰し、それ以上は温度が上がりません。
圧力IHは、内釜をふたでしっかり閉じて圧力をかけ、100℃より高い温度でお米を炊きます。
高い温度で炊くと、お米の芯まで熱が通りやすくなり、もっちりとした粘りが出やすくなります。
反対に、さらっとした、粒の立ったご飯が好きなら、圧力の強さだけで選ばず、かための炊き分けができるかを見ます。
土鍋釜は、扱いの手間も含めて選ぶ
土鍋釜の炊飯器は、内釜が土鍋でできていて、熱をためこむ性質を生かして炊きます。
仕上がりをねらった方式ですが、内釜が重く、落とすと割れることがあるので、毎日洗うときの扱いやすさもあわせて考えます。
鍋で炊く手間はかけたくないけれど、土鍋らしい炊きあがりがほしい、という人に向いた方式です。
容量は「1回にいちばん多く炊く量」で決める
容量は、家族の人数より、1回にいちばん多く炊く量で決めます。
週末にまとめて炊いて冷凍する家なら、ふだんの量より大きめが必要です。

| 容量 | 1回に炊く量の目安 | 気を付けること |
|---|---|---|
| 3合炊き | 1〜2人で、1回に1〜2合 | まとめ炊きには足りないことがある。本体が小さく置き場所に困りにくい |
| 5.5合炊き | 3〜4人、または1〜2人でまとめ炊きして冷凍 | 1合だけ炊く日が多いなら、少量のコースがあるかを見る |
| 1升炊き | 5人以上、または一度に6合以上炊く | 本体が大きく重い。置き場所と、内釜を洗うシンクの大きさも確かめる |
いちばん多く炊く量が、最大の合数にぎりぎりになる大きさは避けます。
最大の合数近くまで炊く日が続くと、吹きこぼれや炊きむらが出やすくなるからです。
冷凍するご飯の量の決め方と包み方は「炊いたご飯の冷凍保存、ラップ・容器・解凍の手順と、冷凍に向く炊き方」にまとめています。
内釜の見方、素材・重さ・コーティング
内釜は、炊きあがりにも、毎日の手入れにもかかわる部品です。
売り場や商品ページでは、素材、厚み、重さ、内側のコーティングを確かめます。

- 厚みのある内釜: 熱をためやすく、炊きあがりが安定しやすい。そのぶん重い
- 重さ: 毎回シンクで洗って持ち上げるので、片手で持てるかを確かめる
- 内側のコーティング: ご飯がこびりつきにくいかわり、こすれると傷みやすい
- 内釜の水の目盛り: 白米・無洗米・玄米・おかゆなど、炊きたいお米の目盛りがあるか

コーティングがはがれてきたら
内釜のコーティングは、金属のたわしや、とがった道具でこすると傷みやすくなります。

内釜でお米を研いでよいかどうかは機種によって違うので、取扱説明書の指示に従います。
はがれてきた内釜は、内釜だけを部品として取り寄せられることがあるので、本体を買い替える前に、炊飯器の型番で交換用の内釜を探す方法もあります。
交換用の内釜は、同じ型番に合うメーカーの部品を選びます。
手入れのしやすさは、毎回洗う部品の数で見る
炊飯器の手入れは、内釜のほかに、ふたの内側の板(内ぶた)や、蒸気の出口の部品を洗うことが中心です。
毎回外して洗う部品が多いほど、清潔に保ちやすいかわりに手間が増えます。
部品が外しやすいか、食器洗い乾燥機に入れてよいかは、機種ごとの説明で確かめます。
ふたのパッキンや蒸気の出口にご飯つぶやでんぷんが残ったままだと、においのもとになります。

お手入れのコースがある機種は、取扱説明書に沿って使うと、内側のにおいを抑えやすくなります。
保温は長く続けない
炊いたご飯を長い時間保温すると、乾いたり、黄ばんだり、においが出たりします。
保温できる時間の目安は機種ごとに取扱説明書に書かれているので、その範囲で使い、食べきれない分は、保温を続けずに温かいうちに小分けにして冷凍します。

置き場所と蒸気、やけどを防ぐ置き方
炊飯器の蒸気でやけどをしないために
炊いているあいだ、ふたの蒸気口からは熱い蒸気が出ます。
手や顔を蒸気口の上にかざさないようにし、子どもの手が届かない高さと場所に置きます。
炊きあがってすぐにふたを開けると、一気に蒸気が上がるので、顔を近づけずに開けます。
内釜を取り出すときは、本体もふたも熱いので、鍋つかみを使います。
蒸気がつり戸棚や棚板に当たる場所に置くと、家具が傷んだり、湿気がこもったりします。
引き出し式の棚に置くときは、炊くあいだだけ棚を引き出して、蒸気の上をあけておきます。

蒸気が少ない機種や、蒸気を外に出しにくくした機種もあるので、置き場所が限られるなら、その点も比べます。
置き場所は、本体の幅・奥行き・高さに加えて、ふたを開けたときの高さまで測っておきます。

ふたが上に開く炊飯器は、棚の下ではふたが当たることがあります。
電源は、延長コードやたこ足配線を避け、取扱説明書の指示どおりのコンセントを使います。
自分に合う炊飯器を決める手順
ふだんの量と、まとめ炊きする日の量を書き出し、いちばん多い量を見ます。
その量に少し余裕がある容量を選びます。
もっちり・やわらかめが好きなら圧力IHを、さらっと粒立ちが好きなら、かための炊き分けができる機種を候補にします。
1〜2合を炊くことが多く、こだわりが強くなければ、マイコンでも十分です。
無洗米、玄米、雑穀、おこわを炊くなら、そのコースと内釜の目盛りがあるかを見ます。
玄米をよく炊くなら、玄米コースのある機種が扱いやすくなります。
内釜の重さと、毎回洗う部品の数を比べます。
毎日のことなので、洗う手間が少ないほうが長く続けられます。
本体の寸法、ふたを開けたときの高さ、蒸気の向きが、置き場所に合うかを確かめます。
ここで合わなければ、手順1〜4で選んだ候補から外します。
炊飯器選びで迷いやすいところ
- 1〜2人暮らしで、3合と5.5合はどちらがいい?
-
毎回その日の分だけ炊くなら、3合炊きで足ります。
週末などにまとめて炊いて冷凍するなら、5.5合炊きのほうが一度に炊けて手間が減ります。
5.5合炊きで1合だけ炊く日もあるなら、少量のコースがある機種を選びます。
- 無洗米コースは、なくても困らない?
-
白米のコースで、水を少し多めにすれば炊けます。
内釜に無洗米の目盛りがあれば、水加減を合わせやすくなります。
無洗米の水の合わせ方は「無洗米のメリット・デメリット、普通のお米との違いと炊き方」で詳しく書いています。
- 鍋で炊くのと、炊飯器で炊くのはどう違う?
-
鍋は火加減を自分で決められて、浸水後30分ほどで炊けるのがよいところです。
炊飯器は、予約や保温ができて、手を離せるのがよいところです。
鍋で炊く手順は「鍋・土鍋でお米を炊く手順、火加減と時間、炊飯器との違い」にまとめています。
- 高い温度で炊ける炊飯器なら、浸水はいらない?
-
炊飯のコースの中に、お米に水を吸わせる時間が組みこまれている機種なら、浸水を短くしても芯が残りにくいことがあります。
どこまで省けるかは機種ごとに違うので、取扱説明書の炊き方で確かめます。
買い替えの候補を見る前に、いまの炊飯器でいちばん困っていることを1つ決めておきます。
炊きむらが気になるならIH以上の方式、かたさが合わないなら炊き分けのコース、量が足りないなら容量、置き場所が窮屈なら本体の寸法と蒸気の向き。
困りごとから選んだ炊飯器は、買い替えたあとに「前と変わらない」と感じにくくなります。
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